友に薦められてこの映画を見た。
歌の力の大きさ、そして人と人の出会いが生み出す力の大きさを感じた。
若き日の松山千春を演じた大東俊介が荒削りな原石の輝きを放っていてとても良い。
「昭和50年全国フォーク音楽祭・北海道大会」ここに赤のニッカポッカにサングラス姿で現れ、
鮮烈な印象を残しながらもあまりに生意気な言動で落選を余儀なくされるも、
ただ一人千春の才能を見抜く札幌ラジオ局ディレクター竹田を演じるのは、萩原聖人だ。
何とか千春を取り立てようと企画書を出し続け、ようやく15分のラジオ番組コーナーに抜擢する。
ひたむきに誠実に粘り強く千春を導いていく竹田の姿。
貧しい家庭に育ち人を信じることの出来なくなっていた千春。
二人が心を通わせ、北海道厚生年金会館で「いつかここをを満員にしよう」
「一緒に北海道でやっていこう」と誓うシーンに胸を熱くした。
昔私は、何故松山千春はずっと北海道で歌い続けているのかと思っていた。
ここに答えがあった。
『足寄は、自分が生きているってことを感じさせる町。故郷を大事にするってことは
自分を大事にすることだから』
ラジオ番組で着実に人気を獲得し、ついにレコードデビューを迎える。
寡黙で頑固者の千春の父を演じるのは、泉谷しげるだ。
こっそりラジオを聴いていたり、街に千春のレコードを買いに行ったりする様子が
本当に愛らしい。
人気者になった千春には、他TV局からの甘い誘いもある。
地元で酪農を営む友人の厳しい現実もある。
ラジオ局の一サラリーマンである竹田とのすれちがいも生まれる。
けれど誤解も解け、ファーストコンサートツアーがスタートし、
「明日、函館の会場で逢おう」
その約束が実現することは無かった。
この結末は、知っていた。
知っていたけれども、映画中盤から、ずっと涙が止まらなくなった。
映画のエンディングで松山千春本人のナレーションが流れる。
『……自分の歌の原点は、“生きている”という事です。
フォークソングは貧しい少年に、お前はこの世に生れて生きているんだよと
語りかけてくれました。だから今日も自分は、“みんな俺生きてるよ”って
歌います。この歌がこの叫びがあなたの心に届く事を信じています……』
心の中で精いっぱい拍手を送った。
恩師を語る千春 「旅立ち」~足寄より~ 松山千春
http://www.youtube.com/watch?v=76sjHHGtfYc
ここからは、THE YELLOW MONKEYファンの立場から。
会社の上層部に盾突いてまで千春を売り出そうとラジオ番組に起用し、
資金を掛けてレコードデビューもさせようとする竹田氏の姿は、
「JAM」発売実現に尽力した中原繁氏の姿に被る。
吉井和哉初のラジオDJ「ミッドナイトロックシティー」の時、
慣れない吉井の傍には、中原繁が付き添っていた。
そして中原氏が倒れたのは、地方のアマチュアバンドオーデション会場だったという事実。
切ないです。
けれど、とても暖かで大きな愛を感じさせてくれた映画です。
『自分は、今ここで生きています』